函館とロシアの交流の歴史について研究している、函館日ロ交流史研究会のページです。 このページは、会報をはじめ、これまでの刊行物や活動成果を公開しています。

平成26年度函館日ロ交流史研究会の活動について ――ゴシケヴィッチ生誕200年記念事業、函館開催をふりかえる――

2016年3月 7日 Posted in 会報

長谷部一弘

 平成26年度の函館日ロ交流史研究会の活動において、「ゴシケヴィッチ生誕200年記念事業」への参加が主たる事業となった。ゴシケヴィッチ生誕200年記念事業は、周知のとおり、函館で初代駐日ロシア領事となったヨシフ・アントノヴィチ・ゴシケヴィッチが1814年3月にロシア帝国ミンスク県レチツァ郡(現ベラルーシ共和国)で誕生してからちょうど200年にあたることからゴシケヴィッチゆかりのベラルーシ・ミンスクをはじめとしてロシア・サンクトペテルブルグ、フランス・パリ、日本・函館が連携して実施された記念事業である。
 記念事業の函館開催にあたり、函館日ロ親善協会、日本ユーラシア協会函館地方支部、財団法人北海道国際交流センター、函館ゴシケビッチ顕彰会、函館日ロ交流史研究会によって実行委員会が設立され、ゴシケヴィッチ生誕200年記念事業実行委員会委員長に函館日ロ交流史研究会代表世話人長谷部一弘が就任した。
 記念事業は、ゴシケヴィッチ生誕200年記念事業実行委員会を主催者とし、外務省、函館市、日本たばこ産業株式会社、ロシア極東連邦総合大学函館校、ハコダテ☆ものづくりフォーラムの後援、協賛、協力のもと、ゴシケヴィッチゆかりの地函館市を会場に大勢の市民や関係者を迎え盛大に執り行われた。
 函館市地域交流まちづくりセンターをメイン会場に9月27日から10月18日まで開催された記念事業は、「ゴシケヴィッチ生誕200年記念事業移動展」、「移動展オープニングセレモニー&ギャラリートーク」、「記念講演会・フォーラム」、「旧ロシア領事館特別公開」がおもな内容である。また、開催期間中には旧ソビエト連邦時代の1989年に函館市に寄贈されたゴシケヴッィチの胸像のお披露目やベラルーシから6名の学生の来函による学生交流などによって函館ならではの多彩な記念事業となった。
 移動展では、はるばるベラルーシから搬送されたゴシケヴィッチの生涯をたどる写真パネルが展示紹介され、ベラルーシ国立歴史博物館のスタッフによるゴシケヴィッチと母国ベラルーシにまつわるギャラリートークが花を添えた。
 函館山山麓にあるカフェ・ペルラで開催された記念講演会は、当研究会の会員でもあるロシア極東連邦総合大学函館校准教授倉田有佳氏によって「初代駐日ロシア領事ゴシケーヴィチと函館」と題し、自ら訪れたゴシケヴィッチ誕生の地ベラルーシなどの最新情報を交え講演された。またこの度の記念事業には、ロシア連邦共和国エヴゲーニー・アファナシエフ大使、ベラルーシ共和国セルゲイ・ラフマノフ大使が臨席され、ロシアと繋がりの深い高田屋嘉兵衛の子孫である高田菜々氏とともにフォーラムのパネラーとして参加され、歴史的背景に裏打ちされた今後の函館とロシアとの交流の展望について述べられた。
 このようなゴシケヴィッチ生誕200年を祝う節目の年に、函館日ロ交流史研究会として多くの市民や関係者の皆様とともに盛大な記念事業に参加できたことは、これまでの日ロ交流の軌跡を垣間見ながら今後さまざまな分野における日本・ロシア・ベラルーシ交流の発展と可能性を探求すべく新たな日ロ交流の一ページを刻んだものといえよう。

(函館日ロ交流史研究会代表世話人)

「会報」No.36 2015.3.21 ゴシケーヴィチ生誕200年記念特集号