函館とロシアの交流の歴史について研究している、函館日ロ交流史研究会のページです。 このページは、会報をはじめ、これまでの刊行物や活動成果を公開しています。

高田嘉七氏の死を悼んで

2012年7月24日 Posted in 会報

大矢京右

 去る2011年11月27日、近世北方開拓の雄、高田屋嘉兵衛の七代目に当たる高田嘉七氏が、不慮の事故で急逝された。箱館の発展に心血を注ぎ、ゴロウニン事件の解決に奔走した嘉兵衛の血と魂を受け継ぐ氏は、「社団法人北方歴史研究協会理事長」「登録博物館北方歴史資料館館長」「ロシア地理学会会員」などそうそうたる肩書きとともに常にロシア関連研究および民間日ロ外交の先頭をひた走り、その業績については枚挙にいとまがない。
 私は2008年4月に函館博物館へ異動となり、その縁で高田さんが北方歴史資料館で月1回開催していた「博物館連絡協議会」なる集まりに誘われ、幸いにも高田さんと交誼を結ぶことができた。その会は仰々しい名前に反してとてもフランクな情報交換会であり、市内の登録博物館の学芸員をはじめとした高田さんを慕うメンバーが、高田さんの手料理のご相伴に預かりながら様々なジャンルの話題に花を咲かせていた。そして、亡くなる12日前にも恒例の仲間たちが集まったのだが、終わり際に「来月(12月)は26日だな」と確認したのが高田さんの最後の姿になってしまった。
 我々は高田さんと約束だった12月26日に偲ぶ会を開催して高田さんに献杯し、今年1月21日に称名寺で開催された「お別れ会」では裏方として微力を尽くさせていただくことができた。高田さんを失ったことは途方もなく大きな損失だが、高田さんが我々に、そして函館に残してくれたことを心に、一人の「函館人」として地域へ貢献していくことが、高田さんの恩に報いるただ一つの方法であろう。心から高田さんのご冥福をお祈りしたい。

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2009年5月27日に開催した「高田嘉七さんの喜寿を祝う会」

「会報」No.33 2012.7.20