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アルセニエフ博物館について

2012年4月24日 Posted in 会報

アルセニエフ博物館主任研究員 イライダ・バプツェヴァ

 国立沿海地方アルセニエフ総合博物館(以下、アルセニエフ博物館とする)は極東・シベリア地域における最も古い博物館である。現在に至るまでに名称は4回変更された。

1884年 アムール地方地理学協会の博物館として創設された。
1890年 この年一般に入館を開放。19世紀末からF.F.ブッセ、V.P.マルガリートフ、L.Ja.シテルンベルグ、M.I.ヤンコフスキー、V.K.アルセニエフ等の著名な学者の協力により、主に民族学・考古学のコレクションを行ってきた。
1900年 全世界パリ展示会でアルセニエフ博物館の民族学コレクションは銅メダルを2つ授与された。
1925年 ソビエト政府によりアムール地方地理学協会の博物館は、独立した機関となり、名称もウラジオストク国立州博物館に変わった。
1938年 ロシア極東地域で沿海州がハバロフスク地方と沿海地方に分けられた。
1939年 上記の理由でウラジオストク国立州博物館は改組され、沿海地方郷土誌博物館となった。
1945年 ソビエト政府令により沿海地方郷土誌博物館に有名な探検家V.K.アルセニエフの名前を冠した。
1985年 アルセニエフ沿海地方郷土誌博物館が、現在の名称である国立沿海地方アルセニエフ総合博物館となった。

Ⅱ 概要
・国立文化機関 国立アルセニエフ沿海地方総合博物館 ウラジオストク市スヴェトランスカヤ通り20番
・1884年創立。ただし、1890年9月30日に一般の入館者に開放したため、市民にはこの日が本博物館の創立日とみなされている。
・職員数は198名、うち、学芸員・研究者66名
・ウラジオストクの本部のほか、ダリネレーチェンスク市歴史博物館、パルチザンスク市歴史博物館、レソザヴォツク市歴史博物館、アルセニエフ市歴史博物館、チュグエフカ村にある作家A.ファデーエフ文学記念館の5つの支部を沿海地方に有する国立総合博物館。
・ウラジオストクの本部は、街の中央にある本部(スヴェトランスカヤ通り20番)の他、国際展示センター(ピヨートル大帝通り6番)、アルセニエフの家博物館(アルセニエフ通り7番―B)、スハーノフの家博物館(スハーノフ通り9番)の全部で4つの建物を管理し、総面積は2778平方メートルに及ぶ。
・収蔵コレクションは、ロシア極東地域で最大で、自然・歴史・考古学・民俗学・文化関係の40万点以上に上る。毎年、6000点以上の新蔵品が博物館に入ってくる。

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研究会の様子

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アルセニエフ博物館

「会報」No.26 2004.9.10 2004年度第2回研究会報告要旨