話題の本の紹介
2012年4月24日 Posted in 会報
堀江満智著『遙かなる浦潮』
(2002年1月、新風書房)
著者堀江満智さんの祖父堀江直造は、明治時代にウラジオストクに渡り、日本人経営の商店に勤めた。その後独立して、堀江商店と看板を出し、商売の成功とともに居留民会会頭となるなどウラジオストクの日本人社会の有力者となっていった。
堀江商店については、1995年、当会が主催したシンポジウムにおいてゾーヤ・モルグン氏(当時ロシア科学アカデミー極東支部極東諸民族歴史・考古・民族学研究所)が発表した「ウラジオストクにおける日本人企業家」でも詳しく言及されたので、ご記憶にある方もいらっしゃるだろう。
この度、孫の満智さんが堀江家に残された貴重な資料や写真を駆使して執筆されたのが、本書である。シベリア出兵時の様子など、公的な記録ではみられない興味深い事実も知ることができる。
「新日本古典訳文学大系、明治篇」第15巻『翻訳小説集 二』
(2002年1月、岩波書店)
昨年7月28日の茶話会でお話しいただいた安井亮平先生の校注・解説による、高須治助訳『露国奇聞 花心蝶思録』が、収録されている(本文291~348頁、補注479~490頁、解説523~537頁)。
「古典文学」に関心のある方は言うに及ばないが、「函館と高須治助」について、関心をお持ちの方にも必見の書である。
当研究会としては、函館と高須についての新資料発掘が待たれるところである。
「会報」No.20 2002.4.6