函館とロシアの交流の歴史について研究している、函館日ロ交流史研究会のページです。 このページは、会報をはじめ、これまでの刊行物や活動成果を公開しています。

研究会の10年を顧みて

2012年4月26日 Posted in 大正・昭和期に函館に来たロシア人

函館日ロ交流史研究会 会長 鈴木旭

 本研究会が誕生したきっかけは、1992年11月、私と長谷部一弘、清水恵の三人が、「函館とロシア極東地方の交流史」という課題で北海道科学研究費の助成を受け、ウラジヴォストーク市のロシア科学アカデミー極東支部、極東諸民族歴史・考古・民族学研究所を訪ねたことである(共同研究者には菅原繁昭も参加)。訪問した研究所ではB.L.ラーリン所長はじめZ.F.モルグン、A.T.マンドリック、B.M.アフォーニン氏等と懇談。そこで研究交流の話がまとまり、その受け皿として研究会をつくることにした。研究交流の目的は、函館とロシア極東地域にかかわる埋もれていた交流の歴史を、市民レベルの問題意識で掘り下げてみようというもので、両地域住民の相互理解と友好関係の発展に役立つと考えたわけである。
 会員は、発足当時から大きな変化がなく、現在52名で半数近くが市内在住者で、道内、関東、関西各地の大学教師、図書館、博物館職員、自治体職員、団体役員、議員、教会司祭など多彩なメンバーが参加している。発足当初の事業は、上記の歴史学研究所と毎年交互にシンポジウムを開催することであり、これに付随して会員中心の研究会を開催し、会報の発行を行ってきた。
 第一回のシンポジウムは、1993年9月、上記研究所職員三氏を函館に招き、翌年の第二回は会員7名がウラジヴォストークに赴き、その後1999年まで連続6回、計8回のシンポジウムを開いてきた。これらのシンポジウムでは、知られていなかった歴史的事実の紹介や新たな研究の視点等が論議され、日ロ関係の歴史について、相当程度の理解を深めることができたように考えられる。